キッチン/ミナト 螢
 
悲しいニュースが朝を囲んでも
カーテンを開けてコーヒーを飲む

いつもと変わらず動ける体は
関節の音を置き忘れた後

いただきますと合わせた両手を
祈りに変えて目を瞑る時間が

遠く離れたあの場所へ届いた
荷物のように高く積み上がる

分かりにくいけどみんな生きている
その中で聞いた呼吸の数だけ
繋いでゆければ開ける扉は
あなたが目指した未来になるんだ

心の形を確かめるために
そっと触れても壊れてしまうなら

卵を割った時に欠ける殻は
きっと誰かの涙なんだろう
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