わかれ わかれ/木立 悟
左目の鴉は月に帰り
右目の鴉は海を埋める
冬 青 銀 冬 青 銀
径のかけらが 径に散らばる
服は水に濡れ 黒くなってゆく
黒くなってゆく黒くなってゆく
臓物が背から飛び出ても
気付かないほど黒く
光の角
崖の上の鹿
飛び降りる鹿
光の崖
胸にそよぐ堅い羽
囁きの壁 城を囲む
下へ 上へ解く
双つの閉じた目
世界は白く
世界は暗い
星は鳥にさざめきさざめき
水の向こうに向こうに帰る
視線から音を奪うもの
風で夜を塗りつぶすもの
十指の腹で夜をなぞる
丸い突起を丸くなぞる
遠い遠い雨の針が
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