頭のいい子が幸せになるのは難しい/ホロウ・シカエルボク
 

四番街の真っ赤なシトロエンの中の焼死体は一七歳の娘だった、その車がいつからそこに止められていたのかということについては誰もはっきりと思い出すことは出来なかった、そこは居住区の端っこにある不便な地区で、家はあれど住人など居なかった、遺体はきちんとした工程で焼かれたものではなく、お粗末なシェフの居るレストランで出てくるステーキみたいな有様だった、まあ、そのおかげで彼女が誰かを知ることが出来たのだから良しとするべきなのかもしれない、身元不明の黒焦げの焼死体など哀れ過ぎて目も当てられない…身元がわかってもそれ以上のことはなにもわからなかった、天涯孤独の身のようで、両親は事故で死別していて、親戚や友達の
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