割れたのは、こころか、鏡か/秋葉竹
 


恋割れた悲しい夜に稲光り


名月をよごしてごめんと淡い雲


失恋に馴染まないよう柿を食う


牛乳を飲み干す高い空見上げ


オリオンをよるの真水のようにのむ


ただひとりおちてほしいな寒椿


かいわない枯れ木のようなふたりきり


白い息ふたりはきだす寒い居間


雪見酒飲んだあのころ夢もみた


いまはもう炬燵の孤独に熔けている


ふたりでも孤独に震える寒雀


深雪を映す鏡が割れている


すべて捨てゆきたいけれどかたい雪





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