僕は彼女の手を握っていた/la_feminite_nue(死に巫女)
彼女は水色の服ばかりを着ていた。
キャンバスには、青と白の水彩画。
それは何? って聞いたら、
「空」って。
他には何か描かないの? って聞いたら、
「いいえ」って。
低血圧で低血糖。
だから、
彼女は夏でも水色のカーディガンを着ていた。
暑くないのって聞いたら、
「いいえ」って。
僕は彼女の体を知っていたけれど、
彼女が僕を愛したとは思えない。
ずっと、
彼女は僕に弾かれるままに弾かれていた。
僕はまるでピアノを前にしているようだった。
キャンバスには青と白の水彩画。
それは彼女の心のようだった。
そうしていつか、彼女が溶けてしまわないかと……
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