ザ・リバー(海に流れ着くためとは限らない)/ホロウ・シカエルボク
 

そこには縁の欠けた器があり、中にはなにも注がれてはいない、埃が厚く積もるほどに長く食卓に捨て置かれたそれは、詩を持たぬものの心で膿のようになって生きている詩情を思わせる、わかるか、回路を持たぬものには祈りが生じない、彼らは回路を繋げる手段を持たない、それは、意識的になって、探さなければ見つけられないものだから、仮に求めたところでそれが必ず手に入れられる保証など万に一つもないものだから…俺はそれを始め、貪欲に求める事こそが良いと考えていた、だけど、そうして手に入る小さなものをひとつひとつ検分して飲み込んでいくうちに、それが必ずしも正解というわけではないということに気づいた、飢えた犬はやたらと食い
[次のページ]
戻る   Point(0)