焦げた髪の毛/ふじりゅう
 
手垢が汚いフェンスをよじ登り
腫れぼったいふたりを夕焼けが刺す
車の影に空気を入れないように
石を蹴り始めよう
本当はゴールがどこかにあって
本当のゴールは躓かないと分からない
だけど君と交わしたハイタッチ
たぶんフィクションにしては柔らかすぎる

汗の臭い忘れるほどの
皮膚のあまやかな刺激
冷たい廊下の青空を忘れて
自作の鼻歌を歌った
街中のぬるい空気に
石を投げようと 君は言ってた

1度目の傷も2度目の傷跡も
最新のタスクに塗り替えられていく
垢まみれの歩道を
忘れていると
続きを書けない手帳の中に
焦げた髪の毛が 今も眠る
君の垢が タスクに埋まる
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