風景観察官の手紙/
朝倉キンジ
さびしい照明をともし
身を構えていられます
もうさっきから
南の空ではさそりの赤い火が
ゴシック式にきらきら燃えています
赤い色がここまで届きます
誰にも行かれない場所で
水素がずっと燃されるかなしさと
大気がゆらいで星が明滅すること
いま太白山に透明な後光がたちのぼり
水鳥がひとつ鳴きました
ではさて 私は私の責務を果たします
あなたもお元気で さよなら
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