春のそうめん/本木はじめ
 
すみどりいろの目に映えるであろう融解されてゆく百合


格子越しに会話するきみとわれの落下速度を計る低音で響くパイプオルガンのド


逆らうごとくところどころに封じられた禁欲が大洪水のごとく押し流してゆく瞬眠


沈黙の流星ななめに燃え尽きてただの空ですきみが好きです
 

ライオンに食べられている鹿もいる純粋などという言葉もある


壁とゆう概念ひとつ捨て去ればぼくらどこでも行けるさ ゴツンッ
 

美しいフラッシュバックの断片をつなぎあわせて飾れ人生


春ですねさくらの花でいっぱいの頭の中がユートピアなきみ


大気中を漂っている手を繋ぎ雨と転じて生まれ変わるまで


舞台からはみでてしまう背景に描くのならば青空がいい


満月の夜に邪険にされること覚悟の上の雲である恋


春眠のようなおまえを抱きしめる午睡のごときわれとつながれ



戻る   Point(7)