深海で紅茶を、深宇宙で紙巻きタバコを一本/竜門勇気
 

あるきまわる場所が
いつしか世界の外枠になってしまった
そんな人類にとって
深海の騒がしさはいつも憧れ

何も知らないことで
何度も希望を生んできた
白痴の創造主が僕らの中にいて
それぞれ別の後継者を植え付けている

深く海の底に沈んで
そんな想像を眠る前にしよう

遠く星の彼方へ
そんな想像でもいい

酷く凪いだ海が存在するまで
眠ることも忘れて待てばいい
世界で最後の両切りタバコをくわえて
窓辺に腰掛けて目を閉じる
このライターを擦るまで
永遠が視線を追跡する

ゲインオーバー
遊んでられて、それを自覚できるだけの時間は
長いか短いかに関わらずここで終わりだ
無自覚で真実
真実で僕のための無自覚
深く深く潜る想像でそこに行く
遠く遠く星の彼方切り裂く裸の自我

酷く凪いだ宇宙を目にするまで
粉々になって探せばいい
世界の終わりに深海で紅茶を
このライターを擦るまでの間
愉快なことだけ思って
その味について高揚について感じていよう


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