寄りかかられない椅子のように/ふじりゅう
 
きつかった、きつかったなんて、笑い合うのに意味はないわよね。だって、狭苦しく汚いワンルームで缶ビールをちびちび啜るだけの人に、それを発言するだけの説得力がないものね。あのときは、あのときはなんて思い出話に瞳を潤わすのは、どこかに自らを置きたいとさ迷っているからじゃないかしら。

マッチ棒から灯る幻影に身を寄せる。
ほかあと暖かく修正されていく室内。
さみしい。むなしい。
涙も無闇に蒸発させられる感傷性のない場所。

しんどい、しんどい、なんて言ってクタクタの体を布団に起きやったあなた。
クジ引きでいつもつまらない位置の番号を引き続けて笑われもしなかったあなた。
しんどい、しんどい
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