あの灰が零時になるとき/ホロウ・シカエルボク
溶鉱炉の
中で
どろどろに溶けた
灰色の自我を
化粧水の
ように
皮膚の上に
塗りたくる
熱さというよりは
痛みの連なりで
焼けていく
おれの上面
度を超えた衝撃は
幻覚を
引き起こす
だけどそれは
いつかしら見たことがある
どうしようもない現実の
一場面によく似ている
なにかを書くということは
自分自身を
ひどくいたぶるということだ
傷口から流れた血液を
壁に塗り付けていくような行為だ
ときどき
血を止めてくれと思うこともある
それほどに激しい血が
どくどくと流れ出してとまらないことがある
だけど
おれは思うのだ
恐怖がある
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