花壇に食卓/竜門勇気
 

目隠しをしたまま
食卓を囲んでいよう
これまでもそうだったんだ
これからは自覚して見ないでいる

冷たいものは一つあって
そうじゃないのが一つ
しょっぱいのが少し
全くの液体が一杯
得体のしれないしゃべるやつが一人

君の思いはわかった
椅子を引く音
最初に控えめな音が聞こえて
すぐに大きく何かが木の床を鳴らした
冷蔵庫が開いたような気がしたし
そこから一リットルほど
なにかが入ったガラス瓶が取り出されたような気がした

君の言いたいことは
わかってるつもりさ
僕は頷いた
今日の街の様子と
この季節に咲く花の名前を聞きながら
目隠しをしてるのはきっとこの部屋には一人だけ

話題にのぼる花の香る様が
君を思わせる
甘くも香ばしくもない
僕が持たない言葉でできたいいにおい
すみれに少し似ているけど
石鹸の袋みたいなにおいもする

食卓には今日何が並んでんだろう
僕は何で出来てるんだろう
君はどんな花なんだろう
この部屋にはだれがいるんだろう


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