幻想楽園島/
秋葉竹
削りとる、
そんな
みっともない掠れ声。
残像さえも、残さずに
風に吹かれて消え去る幻。
幻の夜、
ヤドガリも寝静まった砂浜に
楽園の島のヤシの実が流れ着く。
叶わない夢に打ちのめされた
びしょ濡れの異邦人の顔をして
ただ咳をする
棒立ちの影のくせに
くだらない虚像のくせに
叶わない夢を求めてしまった、
私は、
島影を遥かかなたにのぞみながら。
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