編み物ver1.1.1.1.1.1.1.1.1.../鈴木歯車
ほど疎ましく思っていたか 今はもう思い出せない)
今日も妙な夢を見た
赤い糸があなたの小指から出てきて
ぼくのうなじにじゅくじゅくと寄生していく夢だった
あなたとひとつになってしまわぬように ぼくはどこかへ走り出す
ただそんな夢だった
あなたは今でも あの清潔すぎる部屋で
誰にあげることも叶わない帽子を捨てずに
洗い続けているのだろうか
自分以外の痛みには鈍感な性分だったから、
いつか訳の分からない どす黒い毛玉になり果てても、
あなたは帽子やらセーターやらを
洗濯機で あらあらしく洗った後
それでも消えない一抹の赤色に
心臓に近い形の愛を見出して
静かに笑っているのだろうか
肌寒い部屋の中で いつまでも いつまでも
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