ただ真夜中が流れ落ちていくだけの/ホロウ・シカエルボク
 

とある感触はおそらくは動脈からの血液を不規則に浴びるシャワーのようなものだった、だから俺はおとなしくしてそれを浴び続けていた、だってそれは俺の血以外には在り得なかったし、その中途半端な温度は浴び続けることにどんな苦労もなかった、これは惰性なのか、それとも好奇心なのか、それとも安住の地なのか…いくら考えても答えは出なかった、たぶんそのどれでもないなにかだろうがいざ言葉として表現しようとするとその程度のフレーズにしかなり得ない、しいて言うならそんな種類の暗喩だけが思考の端々を突っついていた―床に血だまりは出来ていなかった、だからそれは俺の中に戻っていっているのだろうと俺は思った、では出処はどこなの
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