ブルーな歌がブルースというわけではない/秋葉竹
 

持ちきれないほどの
暖かい気持ちが
なんどもなんども老いたミュージシャンの胸を
叩き割ろうとしたから
とても遠いむかしのような
白い霧の朝のニュースを止めてでも
真空管ラジオに乗せて
グッバイ マイ オールドフレンド
というノスタルジックな新曲を
流し続けるのだこの街では

振り返って、歌ってみて?

うまれてきたことが
失敗だったという
幻滅すべき真実を
知りたくはなかったのに
悪役になんかかたくなにでもけっして
なりたくなかったけっしてたどり着けない
彼方のほこりっぽい街では
閑古鳥が鳴く映画館で
お涙ちょうだいラブロマンスが
上映されて
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