明日はきっと/
坂本瞳子
美しいと感じる心が砕け始めたとき
月は輝いていた
どこか遠くから
かなり遠くから
何者かの雄叫びが轟いた
身構え
四つん這いになって
後ずさりをしてみたけれど
目の当たりにすることはできなかった
手のひらを擦りむいて
軽い出血から感じたこの生命は
いつ尽きるとも知れず
不確かな存在の軽薄さを
純白の羽毛ほどにも表現せず
涙の一滴さえ流すでもなく迎える朝は
紫に満ち満ちて
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