今はもうだれとも、手をつないだりちょっとした話をしたりしたくない/竜門勇気
なんで何度も
こんなとこに戻ってきちまうんだろう
最初からやり直すなんて
もう出来そうになくなってから
あの日確かに
俺はなにかやれそうだったよ
若かったし、今より少し馬鹿だった
でもそんなふうに見えてただけだったって
よくわかってる
あんたなんで
こんなところで待ってるんだよ
脳みそ待ってんのか?
こねーよ 考えれる時間なんて
こねーったら来ないさ 暇つぶしか?
お互い因果が回りきって
どっちも向けなくなってる
あん時俺は間抜けで
今はそこまででもないって
そんな言葉が救いになりそうで
やめらんない麻酔だ
死ぬまで続く鈍感の始まりさ
匂いや触り心地は
生きてる時間をぶっ壊した
なんの意味もない体験が
とてつもなく重要に思えた
そう思って空っぽの貝殻を
空に向けて置いて
雨を待っていた
なんでこんな日にまで
過去は俺を追ってくるんだろう
何度も殴られて
”おー、意味はねーよ。意味はな。”
ゴミがベタベタと顔にしがみついて
結局立ち上がることもできない
帰ってこない言葉だけ思い出せる
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