無題/
あおいみつる
しずかだ
この部屋で飯を食らい
いくつもの賭けをしているかのように
日々の営みがくりかえされる
この骨肉
とうてい理解しえない
この瞬間
けして手元に置くことはできない
握りしめようとしても
するりと零れ落ちていく
得体のしれない器の中を
生かされている
細く白い指がのびる
わたしとは
かつて
母の胎の海を浮かんでいた
記憶にはない母とのやりとり
わたしはこの瞬間に辿り着いた
また
するりと零れ落ちた
くりかえし
零れ落ちてゆく
しずかだ
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