赤く渇いたシュルレアリスム/ホロウ・シカエルボク
殺人鬼のような有様で俺は次の展開を待っていた、そこにある壁はそれ以上どんなアクションも起こさなかった、死だ、と俺は思った、いまこの壁は俺の目の前で死を迎えたのだ…俺は立ち上がり、壁に向かって拳を打ち付けた、数回で皮膚は切れ、今度は俺の拳が血を流し始めた、大量に流れた血の跡に俺の血が上書きされ、その模様はどこかポップな印象すら与えた、壊さなければならない、俺はそう感じていた、両手が使い物にならなくなると蹴り飛ばした、脚は拳のように傷つきはしなかったが、次第に関節が衝撃を受け止められなくなってきた、ふう、と俺はまた床に胡坐をかいた、そして、素知らぬ顔で突っ立っている壁と再び黙って向かい合った、死んだのだろうか?本当に―?次第にそんな考えが浮かび上がってきた、あれはもしかしたら生き永らえるための策なのかもしれない、毒を飲めば吐き出そうとする、そんな習性のようなものなのかもしれない、習性―習性か、俺は笑い出した、習性か、壁のくせに…答える声はなかったし、咎めるものもなかった、ただ壁はそこに在って、俺は笑い続けていた。
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