赤く渇いたシュルレアリスム/ホロウ・シカエルボク
 
さは、たとえば塗装なり壁紙なりを引き剥がそうとして生まれたものだと考えるのが妥当だと思えた、けれど、唯一そんな身軽さを感じさせない軋みが振動となって俺の腰のあたりにまで響いていた、これは間違いなくこの壁のすべてで進行している破壊だ、そう確信せざるを得なかった、それなら、と俺は考えた、これほどのダメージを受けておきながら、なぜこの壁は崩れることなくこうして立ったままでいるのだろうか?何か騙されているような気分だった、とっくに粉微塵になっていてもおかしくないほどあらゆる方向に亀裂は走っているのに、まるでこの壁が壁であることにそんな亀裂はまるで関係がないのではないかと感じさせるほどの堅牢さを感じさせた―
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