ピアノ/パウロ
、軽やかに波立つ睫毛を
耀く緑髪は光と黒い鳥たちとに照らされて周りで震える空気と混ざりあって溶けるかのようだった
きみの愛は静かなものだった
でも、ときおり、きみの中の何かが破裂して飛び出してくることがあった
そんなとき巨大なベヒンシュテインが轟くのだった
きみの手をぼくは覚えている、蒼い静脈が見えるような白くほっそりした指の長い手だ
愛の何週間かが過ぎると
ぼくたちの間にぼんやりとした何かが生まれていた
雨が降り、きみが思いかけず見事にピアノを弾いた幸せな日々に
それがはっきりとした形をとった
ぼくにはわかったのだ
きみにはぼくを思い通りにする力はない
ぼくは白樺
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