颱風と怪獣/北村 守通
 
ガの話では少々逸脱してしまったが、こうした特撮映画・番組における台風というのものの描かれ方は二つの要素を表しているように思う。
1つはは削り取っていき、その過程で破壊していくもの。そして2つ目は異界の物を運んでくる、伝導するものとしての要素。相反するもののようであるが、削り取られてきたからこそ、私たちの目の前に運ばれてくるのである。一方で削られた私たちはそのいくつかがどこかに流れ着く。ともに私たちの眼前に広げられた新たな可能性の種ともいえるのかもしれない。そこにはもちろん恐怖もあるが、期待感もあるのである。
 
 これを書いている8月某日、台風10号が迫りつつある。海は茶色くかき乱されてはいるが、陸の方ではまだその兆候は見えない。10号が通り過ぎる下で、そして通り過ぎた後にどのような世界が広がることになるのか、不謹慎は承知しつつも私は楽しみでならない。

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