Stray Cat Blues/ホロウ・シカエルボク
 

性急な紺碧が
ときおり、夕立と入れ替わりながら
ニュープリント版のような
景色を塗り替えていく
おれたちはコカ・コーラ・ボトリングの
罪深き赤色に寄りかかりっきりで
ラジオのキャスターは猛暑日という単語に飽き始めていた
道端に放置されたカブのハンドルには
そこで生涯を終えた
鉛筆の削りカスみたいな蛾が張り付いていた
暢気な溶岩流が
無邪気に破壊しているような風が吹いていて
日付にはまるでリアリティがなかった
ブルース・スプリングスティーンの
陰鬱なアコースティックが聞こえている
誰もリズムを取ろうとはしなかった
シャツには汗が滲み
それは心を湯煎した
近頃の
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