夕映えの実/AB(なかほど)
 
花束と折り鶴が
そと風に揺れ
すべて
やさしく包まれるよう

赤い辞書の
その辺りに夕焼けが
君の夕焼けが
挟まれていて

いつまでも
「あの頃」なんて言っている
花梨も僕も
ぶらさがってる



あのひとは
童話作家になりました
挿絵には
その齧りかけの実





はなたばと おりづるがそと かぜにゆれ
すべてやさしく つつまれるよう

あかいじしょ のそのあたりに ゆうやけが
きみのゆうやけが はさまれていて

いつまでも あのころなんて いっている
かりんもぼくも ぶらさがってる


あのひとは どうわさっかに なりました
さしえにはその かじりかけのみ




 
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