夏の教室/末下りょう
書けることを書けない夏の教室で
好きな子の隠し事と嘘すら見誤る最低に
これとそれはこれとそれに似ているという点として線にのみこまれようとする夏の営みから逃れようとして線をくしゃくしゃ丸めて黒い点にして
そうやっているうちは書けないことを書いてしまう
たまごが先かにわとりが先かということに意味がないということもない
それによく似たとてもよく似合ったこれをそれに添えて
信じられることなく語られる神さまくらい馬鹿げたものもなく信じられることなく読まれる詩くらい馬鹿げたものもなく
きみは夏の教室で書いていることを書いている
海よりも深いコップの水のような瞳をゆらして
それによく似たとてもよく似合った居眠りがノートを濡らして
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