蝶々が/
こたきひろし
せんでした
訪れている人の姿が何人かありました
犬を連れて歩く婦人
ベンチに並んですわっていた老夫婦
その姿から
何かけして拭き取れない
寂しさを感じました
それは曖昧模糊とした
靄のように思えました
生きてはいるけれど
けして活きていない日々への思いが
この胸に湧いてきました
蝶々がにひき
ひとつに繋がって
私たちの行く手に
ひらひらひらと
飛んでいました
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