詩と散文のはざま/こたきひろし
 
ように竹林先生は教室に戻って来て、再び授業が始めるのから、生徒達もそれに合わせて静粛になり授業に従うのだった。

しかしその日の竹林先生の発作の様子はいつもと違っていた。
それまでは発作が始まっても生徒に危害を加えたり暴言を吐いたりは一度もなかったのに、その日だけは違っていた。
暴言や暴力がなかったからこそ、生徒達は目を瞑り口を抑えていたのに違いなかったがそれが一気に破られてしまったのだ。

その時、発作を起こした竹林先生は尋常ではない目付きで生徒達を睨
み付け暴言を吐いた。
「お前たちはずっと先生を馬鹿にしてきたんだろう!」
と怒鳴ったのだ。
そして最前列に座っていた女子のお腹辺りに、本来なら黒板に使うさし棒の先を押し付けたのだ。
女子は恐怖の顔色に変わった。それでも痛みを我慢しなからじっとしていた。
勇気ある男子生徒の一人がその時立ち上がり、教師の側にいきおい近寄り制止しようとした。
「先生止めてください。痛がってるじゃないですか」
その声で竹林先生は我にかえった。
自我喪失の世界から。
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