知ろうとするそのときにだけ大きく見開けばいい/ホロウ・シカエルボク
過去はまやかしで現在は一瞬、未来は与太話で人生は蝶が見る夢、塵芥掻き回しながら汗みどろの俺はなにもかも知りながら徒労を繰り返す、滑稽だって?では教えろ、懸命さとはどのみち、そうしたことでしか先へ進めないのではないか?「こんなものは無駄だ」とこぼしながら、有り余るときにはなにもせず、結局はほとんどのものが水泡に帰していく、よれたサランラップみたいな水面に、ひとりごとのような弾ける音がする、ひとつ、ふたつ…まるで楽譜を忘れた楽団の早過ぎる終演だ、そのあとのメロディーは辿られることがなかった、では教えろ、懸命さとは所詮、後ろめたさの贖罪に過ぎないのか、なにかを選ばなかった、なにかを選んでしまったその
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