代償行為をやろう/竜門勇気
 

真夏になる前に
逃げてきた場所で
やらなきゃだめだ
首に手をかける
君と二人

汗ばかり
動いてる
匂いがする
君のやつと
僕のやつ

混じってしまったところと
別々のところ
まるで違う匂いだ
少しだけ早いんだ
蝉の鳴き声が
途切れて聞こえた

6月とかは7月とかの出来損ない
半端な季節じゃないと
鈍りそうだからさ

汗だけが
この部屋で
動いてる
匂いがする
君の息と
僕の息

今日
何を食べてきたのか
何を飲んだのか
わかるくらい
近くにいる
お互いの瞳が
よく見えてる
見えすぎて
なんだか世界が素晴らしいものに
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