洗礼/ミナト 螢
 
傷口に染みるレースのカーテン
それはもう記憶という結晶が
穴だらけだから光を通して
埋めようとする誰かの言葉で

白い沈黙に乗せた身体は
人間を忘れ自然を聞いた

鳴き声だけで寄り添っていられる
鳥たちの羽根が夢を撫でてゆく

届けたいものは高い空でこそ
輝けるのだと指差す場所に
滑り台を置く雨上がりの午後

入り口も出口も分からないけど
僕は多分ここで大人になる
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