風にゆられる木々/ふじりゅう
 
ゆっくりと 歩くスピードを
なだらかにしていく
都合よく転校したきみが
どこかでごろごろしているのかな
大きなたんこぶの上を痛がりながら進んで
元気いっぱいの掛け声から逃げている
爽やかな風が木々を揺らす 揺らすと
大きなブラックホールの中へ
僕のおかしな肉も骨も吸い込まれて
孤独だけが残っていた

ゆっくりと歩く なだらかな坂は
普通の生活では歩けない 寂しい道だ
全然平気だよ ほら満面の笑顔だろう
包丁を貸してくれないか
玉ねぎのように切りたくなってきた
爽やかな風がビルや扇風機に散ると
千切れた雨が優しく僕をきみを攫う
遠くへ ブラックホールのような遠くへ
今だけキスを許してくれないか
まるで普通みたいに笑顔を交換して
きみを突き飛ばしたあと 僕は闇の底へ
おかしいとわかっていた
色んな生命線吸い込まれて
最後に 風にゆられる木々を見る孤独が 涙を流しながら さようなら
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