ハコスカの50年/イオン
 
50年前
ハコスカに乗っていた男は30代
峠を攻めていた
高度成長期のサーフィンラインに乗って
バスに乗らなくなくなり
路線廃止に追い込んだという
自覚もなかった

50年後
ハコスカに乗っていた男は80代
峠を越えていた
高齢者運転のバッシングを受け流し
路線廃止の不可抗力と主張
あのハコスカがまだ走っているから
自分が老いているという
自覚もなかった

50年先
ハコスカに乗っていた男はいない
峠に眠っている
あのハコスカもガソリンが無くなって
博物館に眠っているだろう
化石になりかけても
化石燃料が男を燃やし続けた
ハコスカの50年
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