シ的技師/六崎杏介
(批評を書いて下さった方々へ感謝を込めて)
私はずっと薬物のもたらす銘酊を利用して、詩を書いていました。その頃書いた『重力と火』と言う作品について、「文章というよりは現象」と批評の中でMonk様は仰って下さいました。私もそう思います。ドロドロに溶けた意識のおもむくままキーボードを叩く事によって生じる現象だった、と思います。
その頃の詩たちは個人的には好きだし、もしかしたら美の欠けらでも少しはあったかもしれないな、とも思います。しかし、最近の私には「現象」は起こせませんでした。理由は、薬物に耐性がついて、依然程意識が溶けなくなったからです。
私は今、注意深く文字を置きます。無くなった「現象」を解体し、観察し、乗りこなす技師になりたいと考えています。再現ではなく、精練された新しい「現象」の製造の為に。
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