ケモノの夜/ホロウ・シカエルボク
 

断首されたばかりの蛇のようにのたうちながら俺を封じ込めようとそいつは現れた、俺は逃れる隙があるかどうか見極めるためにそいつから目を逸らさないままで立ち尽くしていた、そんな風に対峙してからどれくらいの時が経ったのだろうか、忙しなく動いているくせに近寄ってくる速度はずいぶんと遅かった、無駄な動きが多過ぎるのだ、と俺は思った、意図が多過ぎると動作は空回りが多くなる、そいつにはあまりにも俺を取り込んでやろうという意図があり過ぎた、おかげで俺は早くからそいつに気付くことが出来ていた―だがどういうわけか俺の身体には退くということが許されておらず、脚を動かそうとしてもほんの少し肩が揺れる程度だった、あらかじ
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