ケロイドのような思春期を纏って/ホロウ・シカエルボク
 
、スピードスターのつもりで暴走車に成り下がってるやつなんてごまんといる、俺はアクセルを緩める…愚かしいものを身をもって知るために思春期が用意されている、でも俺はその機会を存分に生かすことは出来なかった、俺は愚かになれなかった、そういえばこれまでずっとそうだった、俺には自分以外に崇めるものがいなかった、これは自惚れではない、それがつまり指針というものだ、俺の指針は俺の邪魔など決してしなかった、俺にはどんな信心もないが、神を知っているし、祈ることも出来る、それは俺が俺自身から始まっているからだ、俺自身は他のものであったことがないからだ、そこには様々な理由があるだろう、意識的なものもあるし、無意識的なものもあるだろう、けれどそれが俺自身というものに集約されたわけは、俺がなにも見失わなかったせいなのだ、テーブルが天井灯を跳ね返している、その跳弾は銃口へ返る、俺はその間抜けな銃口を見上げる―白色電灯しか選べない理由がこんな夜の中には落ちているはずなのだ。


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