ケロイドのような思春期を纏って/ホロウ・シカエルボク
 
思考が樹氷になるのではないかと危ぶまれてしまうほどの凍てついた夜の記憶が、どっちつかずの六月の夜に蘇るパラドクス、同じころに叩き潰したしたり顔の羽虫の死体は気付かぬうちにカラカラに渇いていた、艶加工された安価のテーブルの上でもう土にも還れない、大量生産の極みのような薄っぺらい紙に包まれてダストボックスに投げ込まれ、同じような運命を背負わされた仲間がたくさん居るだろう処理場への便をただ待っている、それを人生の縮図だなんて例えてみるのは簡単だけれど…今夜は不思議なほどに往来を行き来するものが少ない、先の週末の夜が奇妙なほど賑やかだったせいでそんな風に感じるのかもしれない、スケールは簡単に伸びたり曲がっ
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