閉じていく世界/葉leaf
 
たのである。世界を構成する軸となっていたのが私と親友との友情であり、その軸を回転するように私と友人とは対話を重ねた。あるいは友情という軸も変幻自在に収縮を繰り返していたのかもしれない。世界に張り巡らされた緊密なネットワークは、私と親友との様々な思い出によって張り巡らされている。そこには場所があったりほかの人間がいたり複雑であるが、とにかく二人の友情の世界は複雑で変転して濃密だった。
その世界が終焉したあと、残された私は世界の痕跡のあわいを漂っている。世界が終焉してもその残像は痕跡として残る。私は痕跡としての世界の中に一人取り残されて、世界がまだ生きていたころの親友とのやり取りを反芻している。世界が終焉してもなお残る痕跡の中で私は涙を流している。

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