杯と毒/matirius
内容ならあるぞ、いくらでも
形式のままごとの世界で
溜まりにたまったこの憎悪がそれだ
これを癒すことのできるものは
何であれ価値と真理の名を冠してよい
だが待て、ひょっとして
この憎悪と渇望のほかに
言わば、膨大な商品集成と
それを勝ち得んとする労働のほかに
内容など無いのだとしたら?
労働が憎悪を生み、憎悪が労働を
世界とは、何と空しい機械だろう!
天の杯の底から憎悪の泡が
浮かんでは消えてゆく
神はこんな貧相なものを生み出し
友とせねばならぬほど孤独だったのか?
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