イ短調ロンドの孤独に犬のやうにあくがれて せつかく育てた硝子(がらす)色の菫(すみれ)を ただなつかしく僕は喰ひ尽してしまつた。 失意のかたい陰影を 新緑のプロムナードにつめたく落として 僕は終日時空をよぎる少年の真似をした―― 涼風吹く庭の白いテエブルで 球体に似て全てを嫌ふ きみの形而上学を僕は聴かう。