ひまわりになったよ/ふじりゅう
 
どこかへ 笑われながら消えたきみ
駅の濁流に疲弊しても
兼六園の水鏡で耳を洗っても
みんなに追われて逃げ惑っても
晴天を仰げば まだ醒めない
秋風にささくれを刺激されながら
自我の花びらを ぷつん と摘んで
わたしの名を刻み 手放し 失せてゆく
きみのほほえみだけじゃもの足りない
ひなたぼっこが好きだったきみ
どうして優雅な 水晶のような瞳
一輪のひまわりがこうべを垂れるように
そっと風に 吹かれていた

どんな本を読んでも見つからない
かつてのきみで歪んだ血液を濾過することば
消えそうで ぎりぎりぶら下げたプシュケー
財布の奥で ボロきれのようになったラブレター
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