恋愛ごっこ/美柳 章
「口数の少ない女性(ヤツ)が良いぜ」
「野性的な男性(ヒト)が良いわ」
まるでファミレスのメニューを広げるような出会い
会計が済んだらこっそりテイクアウトのオバチャン
シャワーの音が止まるのならば
愛だけが欠落しているしらけた夜
ぐるぐる回るベッドに身をゆだね
二人は狂ったように延々と一連の動作をこなす
ピストン、
ピストン、
ピストン、
ピストン・・・
白い雨に打たれ全て忘れ
オマエは正気を失う
適当に指を動かすだけで
悲しいくらいオマエは叫ぶ
成果のない夜は思い出にもならないのだろう
自分の犯している罪に
夢を失い愛を弄ぶ行為に気づいたオマエが
血も流れない夜に
涙を流したのが
唯一の救いサ
でもどうせ、恋愛ごっこは終わらない
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