秋にはまだ遠い/渡辺八畳@祝儀敷
 
大地からお呼びがかかったから
僕はここで飛びあがらなくてはならない
しかし足にはヘドロがついてしまっているので
垂直に飛び
斜角にて母を眺める
サインコサインタンジェントと習ったなぁと
その日々は今ではもう位置を思い出せず
しかしそれが確かに在ったという感覚だけがある
だからいっそう、その存在を強く感じる
過ぎ去った日々はそれがあるべき位置を逃れて
過去へまんべんなく広がるからだ

斜角にて佇む大地を感じながら
垂直方向にびがびがした光を見る
あの光たちはガラスもプラスチックも通らないで
鈍い音を立てながらぶつかっている
その音は聞く者にも打撃痛おぼえさせるほどだ
どむどむだむだむ
どむどむだむだむ
このまま上空にて召されたらいいのに
結局こんなのは帰郷の代替だからさ
罪人のようにここへ留まらなくてはならない
どむどむだむだむ
どむどむだむだむ
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