熱帯夜/
ミナト 螢
日焼け止めクリーム
塗らなかった
焦がされる夏を
自転車で転ぶ
クラクションひとつ
拾ってしまえば
ここはもう安全な
場所じゃない
夕陽の中に
扉を見つけて
また明日という
背中は綺麗
それぞれの朝が
始まる前に
深い眠りを
幾つ集めても
車は絶えず
光と音を立て
夜のベルトの
穴を縮めるから
パジャマになるまで
歯は磨くなよ
ミントの香りが
鼻を渡って
海へ引き返す
枕が欲しい
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