街へ《改》/秋葉竹
 


どれだけ走ってみても
虹の先へ届くわけなかった廃ビルの街。

どんなにやさしい夕日がみえても
ひとつの行先もみつけられない。

虹が空から消えるまえに
懐かしい海と空の物語を聞かせてよ。

ブランデーたっぷりはいった紅茶の香り、
眠りをいざなう柔らかいひざまくら。

一輪挿しに、凛とした、あの花を活けてよ、
あの、君の部屋で。


そして空には
夕焼け雲が、残るだろう。

美しい酔っぱらいはたった一人でも、
女を捨てないステージでならやっていける。

月も星も笑うだろう、
修羅場シヌコロスの愛憎劇が懐かしいだなんて。

眠りを与えてくれ
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