真夜中、旋律のない第一楽章/ホロウ・シカエルボク
かという気がした、もちろんそれはわたしが気まぐれに考えたことに過ぎなかったし、それを現実に変えられるほどわたしは子供ではなかった、ただしかし、その光景にはなにか、この世のあらゆる存在のありかたについて、深く考えさせるようななにかが隠れているような気がした、でもそれはもしかしたらそうした光景のせいではなく、そんなことを考えてしまっても致し方ないような時間のせいであったかもしれない、ともかくもわたしはそうしてしばらくの間動かなかった、そうしていると父親が死んだ日のことを思い出した、呆けたように口を縦長に開いたまま呼吸を失った父親の姿を、わたしは彼の最期の呼吸には間に合わなかった、そのことについてはどん
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)