らぶ/秋葉竹
 
少女がいま黒い部屋でしずかに笑っているのは
そこに活けられた中原中也が枯れているからです

中原中也は季節に追われ
小さな窓から見える春の風に憧れたのですが

羨ましいとは言いませんでした

空から陽はあとからあとから降り注ぎ
世界はじっとしても生き生きもしていますが

羨ましいとは言いませんでした

そして中原中也の小さな命を守るために少女は
なんともつまらない約束をしてしまいました

顔も髪も胴体も手足も
明るい空のもと
やがて捻れるような奇妙な雲を眺めて

未来には心を除く全ての自分が捻れるので
心だけはなにがあっても笑っていましょうね

少女は
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