焼身自殺のニュースの記憶とテレビジョンの彼方の洗濯物の状態について/ホロウ・シカエルボク
狂った夏の中に君はいた
汗はとめどなく流れて
叫びは果てしなく溢れた
太陽は執拗なほどの
光と熱を地上に浴びせ続けて
あるものは犯罪者になり
あるものは自殺者になった
飲食店街に流れるクラシックは
時計じかけのオレンジの暗喩だった
川べりの廃車の中に
へその緒つきの胎児の腐乱死体
ある時点まではみんなが
クマか何かのぬいぐるみだと思い込んでいた
だから発見が遅れてしまって
明らかになった時にはなにもかもが手遅れな状態だった
クジラを殺すなと叫んでいる外国人たちの心理は
きっと人種差別から始まっていると思えるのは気のせいだろうか
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)