トゥルー・ソニック/竜門勇気
比喩じゃないんだ
信じてくれ
真っ青な草が生えた丘を見た
八月の初め頃の話だ
僕は何もかもが嫌になっていた
(よくある話だ)
家のドアを蹴飛ばすように開けて
外に飛び出した
すでに世界の終わりのような頭痛が始まっていた
世界一便利な通販で
プラスチックのペットボトルに入ったウィスキーみたいなものを
頭の中まで緩むぐらいにぶち込んで
二時間ほど寝てまたぶち込んで
五リットルのうちもう残るのは
赤ん坊すら騙せないほど
僅かにそこにあるだけだったから
世界一便利な頭痛は
すでに世界の終わりの通販に
プラスチックの底に残ったウィスキーみたいなものを
認識し
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